はじめに
ワタシたちの生活は、平和と安定の上に成り立っているように見える。コンビニでいつでも食料が買え、スマホは常につながり、ニュースは遠くの戦争や外交問題を淡々と伝える。
けれど、その「日常」は、実は極めて繊細な国際的バランスの上に成り立っているということに、どれだけの人が気付いているだろうか。
特に今、日本が直面している二つの国際的動きは、単なる外交や経済の話ではなく、社会構造と国民一人ひとりの精神的安定に直結する問題として捉えなおす必要がある。
一つは、緊張が高まり続ける中国による台湾進攻の可能性。もう一つは、アメリカが進める関税強化と経済的ブロック化の動き。
まず、中国による台湾への圧力は日々強まっている。台湾の防衛線に米軍が加わる可能性が議論され、日本はその最前線としての役割を強く問われている。
地理的にも台湾と日本の間はわずか100km余り。沖縄や与那国島は、有事になれば即座に影響を受ける場所であり、米中の緊張が一気に「ワタシたちの生活圏」に移転する現実を抱えている。
さらに、台湾は世界の半導体供給の中枢を担う存在。特にTSMCは、最先端のチップの生産で世界をリードしていて、日本の自動車、家電、インフラ産業は、その供給に大きく依存している。
もし中国が台湾を武力で制圧すれば、その供給網が断ち切られるだけでなく、中国が半導体の「栓」を握ることになる。これは経済危機というよりも、テクノロジー社会全体の制御権が中国側に移ることを意味する。
一方、アメリカはトランプ政権時代から続く「自国第一主義」の中で、関税政策を戦略的手段として活用している。
中国への制裁関税の強化は、米中の経済分断を決定的なものとし、国際社会に「ブロック経済」的な構造を再構築させる兆しを見せている。
これは1930年代の世界恐慌時に似た危険な構造。経済のブロック化は、戦争や地政学的緊張を生みやすくする。
さらに、アメリカが関税によって孤立主義に傾けば、国際秩序の調整役としての立場が弱まり、その隙をつく形でロシア・北朝鮮という国々が影響力を強める構造が現実味を帯びてくる。
このように、台湾有事のリスクとアメリカの保護主義的傾向という二つの動きは、世界のパワーバランスを揺るがす要因であり、そしてその余波は確実に日本に、そしてワタシたちの生活と「心」にまで届いてくる。
では、こうした大きな構造のうねりの中で、ワタシたちは何を意識し、どう生きるべきなのだろうか?
このブログでは、これら国際的課題を単なる外交や経済ニュースとして消費するのではなく、構造的・精神的側面を含めて「自分ごと」として捉えなおす視点を提供したい。
そして、若い世代だからこそ持てる柔軟な発想と批判的思考を武器に、この時代の矛盾や構造的脅威に対して、「知ること」「語ること」「行動すること」の可能性を見出していきたい。
台湾有事が日本へ与える影響:軍事・経済・社会の観点から

軍事的リスク:日本の安全保障への脅威
- 台湾と日本(沖縄)の距離と戦略的重要性
日本にとって台湾は地理的に極めて近接している。最も台湾に近い与那国島は台湾まで約110kmしか離れていなくて、天気が良ければ島から台湾が見えるほど。沖縄本島から台湾までも約700km程度で、軍事的「第一列島線」上の要衝に位置している。この地政学的近さゆえに、台湾海峡で有事が起きれば日本の南西諸島は直ちに最前線となり得る。
実際、米戦略研究所の専門家は「沖縄は台湾有事と朝鮮半島有事という二つの火種に近く、中国本土とも海を隔てただけの距離にあり、戦略的・軍事的に極めて重要な位置だ」と指摘している。
その反面、「沖縄は中国のミサイル射程内にあり、中国軍の近接阻止戦略の主要標的になりかねない」という脆弱性も抱えている。要するに、日本の南西地域は台湾有事の際に直接的な軍事リスクにさらされる位置にある。 - 米軍と自衛隊の配備状況・関与可能性
沖縄には米軍基地が集中し、嘉手納基地などは米空軍の重要拠点となっている。
米軍は有事に台湾防衛へ出動する可能性が高く、その際日本国内の基地が出撃拠点となると予想される。また、日本政府も南西諸島の防衛力を強化中。近年、自衛隊は鹿児島県奄美大島や沖縄県宮古島・石垣島・与那国島などにレーダー部隊や地対艦・地対空ミサイル部隊を新設し、南西諸島全域の防衛体制を整えた。これは台湾海峡での一方的な現状変更(侵攻)の試みを阻止する狙いがある。
実際に2023年版防衛白書でも、「台湾情勢を巡る軍事バランスは中国に急速に傾きつつあり、日本は地理的近接性ゆえに台湾有事が自国の安全保障に直接影響する」と明記された。日本政府は台湾有事を「日本有事」と捉える危機感を強めていて(阿部元首相も「台湾有事は日本有事」と発言)、有事の際は米軍との共同対処が避けられない情勢。
また、日本の防衛当局者も「台湾有事の難民・避難民対応」や住民避難計画に言及し始めていて、与那国島など離島の住民避難や難民受け入れが課題として議論されている。 - 防衛費増強・反撃能力・憲法上の議論
台湾海峡の緊張を受けて、日本は戦後最大規模の防衛力強化に踏み出した。岸田政権は今後5年間で約43兆円(約2900億ドル)の防衛費を投入し、GDP比2%への増額を目指いしている。この中には、長射程ミサイルを用いた「反撃能力」(敵基地攻撃能力)の保有も含まれ、敵のミサイル発射拠点を抑止・無力化する手段を整備中。これは台湾有事で日本が攻撃される事態(例えば中国が在日米軍基地や南西諸島に攻撃)に備えた措置と言える。
一方、日本国憲法(第九条)の制約下で台湾有事にどう関与できるかも重要な論点。2015年の安保法制で集団的自衛権の限定行使が可能となり、「存立危機事態」に認定されれば日本も武力行使できるとされる。
しかし存立危機事態の認定要件は厳格で、台湾有事がそれに該当するかは解釈次第。例えば、麻生副総理(当時)は「台湾侵攻は日本の存立危機事態になり得る」と発言し、米国と共同で台湾防衛にあたる可能性に言及した。これは日本が台湾有事で米軍と共に行動する意思を示唆するもので、中国側の強い反発を招いた。
要するに、日本国内では「台湾有事に自衛隊がどこまで関与できるか」について憲法上・政策上の議論が活発化していて、抑止力強化と法的制約のバランスが問われている。
経済的リスク:サプライチェーンへの打撃
- 台湾半導体(TSMC)への依存度
台湾有事は日本経済、とりわけハイテク産業に膨大な影響を及ぼす。世界最大の半導体受託生産企業TSMCを擁する台湾は、先端半導体供給の要。
日本は自国内では高度なロジック半導体を十分生産できず、その多くを台湾からの輸入に頼っている。実際、2021年に日本が輸入した半導体の約46.7%は台湾製であり、日本で使用される半導体全体の約3分の1が台湾依存という状況。特に自動車、スマートフォン、PCなど幅広い製品に台湾製の最先端チップが組み込まれていて、台湾からの半導体供給が止まれば日本の製造業は深刻な打撃を受ける。
野村総研の試算によれば、台湾からの半導体輸入が途絶するだけで日本の名目GDPは0.48%押し下げられる可能性がある。さらに日本企業はTSMCに材料・製造措置を供給する立場でもあるから、台湾の半導体生産停滞は日本企業の収益にも波及する。
日本政府は経済安保の観点からTSMC誘致(熊本工場の建設支援)などサプライチェーン強靭化策を進めているが、現時点では台湾半導体への高い依存度をすぐには解消できないのが実情。台湾有事は半導体不足による世界的な供給網混乱を招き、日本の産業にも深刻な部品不足・生産停止をもたらすリスクがある。 - 貿易・サプライチェーンと日本企業の関与
日本と台湾の経済関係も緊密で、台湾は日本にとって中国・米国・韓国に次ぐ第四位の輸出相手国(日本の総輸出の約5%)。台湾向け輸出が全面停止すれば、日本のGDPは約0.9%押し下げられるとの試算もある。
一方、日本企業の台湾進出も活発で、2024年時点で約2988社の日本企業が台湾に拠点を置いている。製造業(特に半導体製造装置メーカー)や商社を中心に約3000社が台湾市場・生産拠点に関与していて、台湾有事で現地拠点の操業停止や取引停止になれば企業業績に直撃する。
日本企業の多くは台湾と中国を一体の市場として捉えて進出してきたが、逆に言えば台湾有事は中国との取引にも波及し、日本企業のサプライチェーン全体が混乱する恐れがある。特に日本が台湾から調達する集積回路(IC)の輸入依存度は実に60%越にも及び、台湾・中国からの素材・部品供給が途絶すれば代替調達は容易ではない。
このような日本のサプライチェーンの中大依存は諸刃の剣で、台湾有事が現実化した場合、日本経済は素材・部品・半導体の不足により想像以上の大打撃を被るだろう。経済省やシンクタンクも国内生産回帰や「フレンドショアリング」(友好国への供給源分散)を提言しているが、短期的にはリスクを大幅に下げるのは難しい状況。 - シーレーン封鎖の可能性と資源・食料への影響
台湾有事のもう一つの経済リスクは、海上輸送路(シーレーン)の遮断によるエネルギー・食料供給への影響。日本はエネルギー資源の大部分と食料の多くを海外に依存している。その例として、石油は日本の一次エネルギー供給の約四割を占めるが、その99.7%を海外輸入に依存し、輸入先の約8割以上が中東地域。中東から日本へのタンカーはインド洋 – マラッカ海峡 – 南シナ海経由で台湾付近を通る航路が主要であり、台湾周辺で有事が起きればこの生命線が脅かされる。
また日本の食料自給率(カロリーベース)は4割未満で、穀物や飼料、食肉・海産物に至るまで広く輸入に頼っている。もし「日本周辺で軍事紛争が発生し、海外から日本への船舶が寄港できなくなる」(まさに台湾有事のケース)ということが起こると、日本は深刻な食糧危機に直面する。専門家は「シーレーンが破壊され輸入が途絶すれば、米など主食の必要量を満たせず、飢餓の恐れがある」と警鐘を鳴らしている。
実際、2022年のロシアによるウクライナ侵攻では小麦価格高騰などが日本の食卓にも影響したが、台湾有事ではそれ以上に原油や穀物が物理的に入ってこない事態すら想定される。
日本政府もエネルギー・食料の備蓄や調達先多角化を進めているが、長期化する回路寸断には限界がある。要するに、台湾有事は日本の経済基盤(製造業の部品供給から国民生活の燃料・食料まで)を揺るがすリスクであり、その波及範囲は極めて広範と言える。
社会的・心理的影響:国民意識と危機管理体制
- 日本国民の安全保障意識の変化
台湾有事の可能性が高まる中で、日本国民の安全保障観も大きく変化している。世論調査では「中国が日本に軍事的脅威を及ぼしている」と感じている国民が増え、「台湾海峡の安定維持に日本も関与すべき」と考える人は74%に上るとの結果がある。
また共同通信社の全国調査(2023年)では、「台湾有事に巻き込まれることへの不安を感じる」と答えた人が89%にも達していた。これはほぼ国民の総意として台湾情勢への懸念が浸透していることを示している。背景には、近年の中国軍拡や威圧行動に対する警戒感がある。
2022年8月、中国が台湾周辺で実施した大規模軍事演習では弾道ミサイル5発が日本のEEZ内に落下し、日本政府が中国に厳重抗議する事態となった。日本の排他的経済水域へのミサイル落下は初めてで、このニュースは連日報道され国民に衝撃を与えた。
さらにロシアのウクライナ侵攻を目の当たりにしたことで、「明日の台湾が今日のウクライナになり得る」という危機感が日本社会で一気に高まった面もある。「台湾有事₌日本有事」という認識が現実味を帯びるにつれ、国民の安全保障意識は従来の受動的な姿勢から能動的・現実的な議論へと移行しつつあると考えられる。 - メディア報道の傾向と不安心理の広がり
日本のメディアも台湾情勢を連日大きく取り上げていて、報道のトーンは次第に危機感を強めている。全国紙やテレビでは「台湾有事」のシュミレーションや日本への影響分析が頻繁に報じられ、専門家の解説や政府高官の発言がクローズアップされている。
特に沖縄の地域メディアでは、有事の際に島嶼地域が戦場や避難経路になる可能性に対する不安の声が多く報道されている。与那国島など先島初頭では住民が「自分たちの島が戦争に巻き込まれるのでは」と不安を語るケースも出てきた。実際、先の中国ミサイル演習の際には石垣島・与那国島でサイレンが鳴り住民が一時避難するなど、現実的な脅威を感じさせる出来事も起きている。
「台湾有事」が具体的な恐怖として認識させるにつれ、日本社会には漠然とした心理的不安が広がっている。内閣府や防衛省の調査でも、「日本周辺の安全保障環境に不安を感じる」と答える割合は近年上昇傾向にある。
一部では防空壕やシェルターへの関心が高まり、非常食や備蓄品を準備する人も出始めている。メディア報道はこうした不安心理を増幅する面もあるが、同時に有事への備えを啓発する役割も担っていて、国民の危機意識を喚起する重要なチャンネルとなっている。 - 日本政府の危機対応・防災システム整備状況
かつて日本政府は台湾有事を具体的に想定した住民避難計画や危機対応を公には議論してこなかった。しかし近年、その姿勢も大きく転換しつつある。政府は初めて沖縄県先島諸島からの住民避難計画を策定し始めていて、2023年末には「台湾有事等に備え、先島諸島約12万人を九州等へ6日程度で避難させる計画」を大枠で示した。
たとえば、台湾に最も近い与那国島については、受け入れ先となる佐賀県が1か月間の避難受け入れ計画を作成し政府に提出している。政府は九州各県と調整のうえ、2025年3月末までに具体的な避難計画を公表する予定。
また、沖縄県宮古島など南西諸島の5市町村には有事に備えた防空避難施設(シェルター)を新設する方針も報じられた。ほかにも、国民保護法に基づくガイドライン整備や、ミサイル着弾を想定したJアラートの訓練実施など、有事の国内対処準備が進められている。
最も課題も多く、離島住民の全島避難には輸送手段の確保や受け入れ先自治体との連携も不可欠だが、現状では詳細は定まっていない。沖罠県側も「有事の避難や難民対応は国の責任であるべきだ」との声があり、政府と地元との調整も今後の課題。また、国民全体への周知・訓練も不足していて、大規模な民間防衛訓練は行われていない。
総じて、日本政府は台湾有事を現実の危機と捉えはじめ、補完区的な危機管理体制の構築に着手した段階にある。防災システムや国民保護の観点ではまだ不十分な点もあるが、ウクライナ危機や国民保護の観点ではまだ不十分な点もあるが、ウクライナ危機や東アジアの緊張を教訓に、日本も「最悪の事態」を想定した備えを急ぎ進めている状況。
各観点を総合すると、台湾有事が日本へ及ぼす影響は軍事・経済・社会のあらゆる分野にわたり極めて重大。地理的近さゆえに日本は直接の武力脅威にさらされ、同盟国米国との一体対応が避けられない。
半導体をはじめ経済面での依存が高いサプライチェーン寸断による打撃も計り知れない。さらに国民生活に不可欠なエネルギー・食料の供給網も脆弱であり、有事の混乱は日本社会に深刻な不安と混乱を招くだろう。
一方で、こうした危機を契機に日本の安全保障政策や国民意識は大きく転換期を迎えている。台湾海峡の平和と安定は日本自身の問題として認識され始めていて、政府・企業・国民それぞれがリスクに向き合い備えを強化することが急務となっている。
台湾有事のシナリオは決して絵空事ではなく、現実の脅威として備えるべき課題である。そのことを日本社会全体が自覚しつつあると言えるだろう。
アメリカの関税政策と日本の立場 – 分断と依存の狭間で

2025年現在、アメリカは保護主義の色を一段と濃くしている。トランプ政権下で始まった対中関税政策は、バイデン政権に引き継がれてもその本質は変わらず、むしろ「経済を使った安全保障戦略」へと進化している。
この関税政策が直接対象としているのが中国だが、その影響は中国と深く結びつくサプライチェーンの一部として機能している日本企業や日本経済全体にも波及する。さらに、米中の対立が長期化すれば、ロシアや北朝鮮のような「非西側陣営」が相対的な優位を得る地政学的構図も強まり、日本の立ち位置はますます複雑化する。
「安全保障はアメリカに、経済は中国に」依存してきた日本にとって、この状況は一種の構造的矛盾を突き付けいてる。
それは、単なる貿易摩擦の話ではない。ワタシたちの暮らし、そして日本がどこに進むべきかという「社会の哲学」にまで影響する問題。
経済の前線に立たされる日本企業
米中の貿易摩擦が激化するたびに、最も大きな影響を受けてきたのはアメリカでも中国でもない。
それは、両国と複雑に絡み合ったグローバル・サプライチェーンの中にいる企業たち。
特に日本はその典型例。
製造業、特に自動車・電子部品・精密機器を中心とした日本企業は、中国の安価な組み立てラインを経由してアメリカ市場に輸出する形を長くとってきた。
しかし、米中の間で高関税が課されるようになれば、中国で完成した製品をアメリカに輸出するコストが急増する。
結果、日本企業は「関税を避けるための迂回生産」や「原材料の再調達」に追われ、想定外のコスト増や利益率の低下に直面している。
経済産業省の報告によれば、2023年時点で日本企業の約39%が、米中貿易摩擦による供給網の見直しを実施中または検討中と答えていて、特に中小企業は対応の遅れが死活問題となっている。
関税は「国家の壁」か、それとも「戦略的な武器」か
かつて「関税」とは、特定の産業保護や税収確保の手段だった。しかし現代ではそれは単なる税金ではなく、「政治的メッセージ」であり、外交的プレッシャーをかける手段となっている。
トランプ政権下で始まった対中制裁関税は、中国製の鉄鋼・電子機器・バッテリーなどに最大25-30%の関税を課すものだった。この政策は一見するとアメリカ国民の雇用を守るように見えるが、現実には「アメリカ国内の消費者コスト増」「日本や台湾、東南アジア企業の間接的な損失」など多国間での連鎖的被害を生んでいる。
2024年にはバイデン政権が再び中国製EVや太陽光パネルの追加関税を打ち出すという報道があり、環境産業を含めた「グリーン分野」でもブロック経済の様相を見せ始めている。
このような流れは、「誰のための保護か?」という問いを突き付ける。保護主義的政策は一部の業界や選挙民には受け入れられるが、長期的には経済の柔軟性や国際的な信頼を損ねるリスクも抱えている。
日本のジレンマ:米中の狭間で選ばされる未来
日本は今、戦後最大級の選択を迫られている。
「同盟国アメリカの要求にこたえるのか」「最大の貿易相手国である中国との関係を守るのか」
これまで両立していたバランス外交は、米中対立の激化により崩れ始めている。
日本企業の約25%が中国に生産拠点を持ち、同時にアメリカに輸出している中で、どちらの顔色も伺うだけの外交は限界を迎えつつある。政府は経済安全保障推進法を施行し、「重要物資の安定供給」「特定企業への支援」などを強化しているが、根本的な問題は「戦略的不明瞭さ」にある。
また、日米同盟を維持しつつ、中国を排除しすぎない「戦略的曖昧さ」は、外交上の柔軟性と同時に「主体性の欠如」と映るリスクもある。この状況を打開するためには、「依存からの脱却」だけでなく、「選択と覚悟」が必要なのかもしれない。
生活レベルにまで影響する「世界の亀裂」
一見、国家間の関税政策と市民生活は無関係に思えるかもしれない。だが、円安や原材料価格の高騰が起これば、ワタシたちが手にする食品やガソリン、家電製品の価格は確実に上昇する。それは日々のストレスとなり、精神的な余裕を奪っていく構造的ストレスへと変わる。
また、SNSやメディアでは「親米派vs親中派」「自由貿易派vs保護主義派」といった分断的な言論も激化している。政策そのものだけでなく、「何を信じるか」「どこに立つか」というアイデンティティの対立すら生み出している。
これらはすべて、関税という「数字上の政策」が、いかに人間の心理や社会構造にまで波及しているかを示している。
アメリカの関税政策は、単なる外交戦略ではない。それは今、世界中の国と国、企業と企業、そして人と人との関係すら揺るがす「構造的な圧力」となっている。
そんな時代に生きるワタシたちが必要とするのは、「どちらに付くか」という答えではなく、構造を理解し、考え抜き、自分の価値観で立つ力ではないだろうか。その力こそが、次の時代の社会をつくる出発点になるはずだ。
精神的防衛力の時代:不安定な世界で「自分の軸」を持つということ

この章の目的としては、国際情勢の不安定さに対して、国家や社会の対応だけでなく、個人がどのように自らの「精神的安全保障」=自立した思考力と行動力を持つかが問われる時代。若者や読者の皆さんに向けて、「自分の内面にこそ希望の拠点がある」と伝えられれば良いと考えている。
情報過多と不安の時代に生きるワタシたち
ワタシたちは今、一日で触れる情報量が江戸時代の人間の一生分を超えるとも言われる「情報過多社会」に生きている。SNS・ニュース速報・YouTube・メディア論説 . . .
世界で何が起きているかは、リアルタイムで知ることができる。だがその反面、本質を見失い、常に漠然とした不安にさらされる状態が続いている。
台湾有事や米中関係のような地政学的問題も、ニュースを通じて目にするたびに、ワタシたちの心に「得体のしれない危機感」を残していく。だが、それらは遠くの政治家や軍隊の話ではない。日常の中でじわじわと精神を削る不安の粒子となって、人々の心の深層に降り積もっていく。
外の変化ではなく、内なる強さが未来を変える
こうした構造的な不安の時代において、ワタシたちはどのように精神の安定を保つことができるだろうか?その答えは「社会がどう変わるか」ではなく、「自分がどれだけ内面的に安定しているか」にかかっている。
社会が変化するスピードが加速し、テクノロジーや経済状況も読めなくなっている今だからこそ、「不安定な世界」の中に「揺るがない自分」を築くことが最も重要になる。
そしてそれは、一朝一夕では身に付かない。だが、自分の内面を見つめ直し、考え、言語化し、選択し続けることで少しずつ形成されるもの。
精神的防衛力とは何か? – 判断力・価値観・回復力
「精神的防衛力」とは、単なるメンタルの強さではない。これは現代を生き抜くための「知的防具」であり、「哲学的筋力」でもある。
具体的には以下の3要素で構成されていると考える。
- 判断力
フェイクニュースや偏った情報に流されず、自分の視点で真偽を見極める力。 - 価値観の確立
社会の価値観に左右されず、「自分は何を大切にしているか」を意識的に選ぶこと。 - 回復力(レジリエンス)
不安や混乱に直面しても、自分を立て直す力・切り替える力。これは心理学的にも最も重要視される。
ハーバード大学の研究でも、「自己認識の高い人間は、不安定な状況下でも幸福度と意思決定の質が高い」というデータが出ている。
つまり、「自分とはだれか」を知ることが、精神的防衛の第一歩ということ。
若者が持つ最大の可能性は、「自由に考える力」
固定観念にとらわれていない若者ほど、構造を変える力を持っている。既存の価値観に染まり切っていないということは、新しい発想・新しい行動様式を選べる自由があるということ。
これはまさに、現代の構造的危機を超える鍵となる。なぜなら、「仕方がない」と受け入れてしまった瞬間に、変化の可能性は消えるから。どんなに巨大な制度でも、どんなに複雑な国際情勢でも、それを変えてきたのはいつの時代も「何かおかしい」と感じた個人の問いかけからだった。
若さとは、未熟さではなく、既存の論理を疑う特権でしかない。
そして、知識とは、権威を振りかざす道具ではなく、構造を読み解く武器だ。
その二つが合わさった時、精神的な影響力は社会に波紋を起こす。
世界を変えるのは、個人の「思想と行動の連鎖」から
精神的防衛力は、内面で完結するものではない。それは、思考を通して言葉となり、言葉が行動へ、行動が他者との共鳴へとつながる連鎖反応。
たとえば、このようなブログを書くという行為もその一つ。考えたことを発信し、それを読んだ誰かが考えを深め、さらに新しい行動を起こす。この静かで見えにくい連鎖が、やがて社会の空気を変えていく。
「精神的幸福」は、社会のシステムではなく、人と人の間にある言葉と行動の連鎖によって育まれていくもの。それを信じて自分の「内なる声」を丁寧に扱い、「外に発する言葉」に誠実でありたいといつも思う。
結論:構造を知り、自分を信じ、未来を創るということ

本記事では、台湾有事の危機、アメリカの関税政策と地政学的緊張、そして不安定な時代における精神的防衛力について、構造的かつ多面的に考察してきた。
いずれも、一見すると個別の問題に見えるが、共通する根底には「複雑化した世界と、そこに飲まれていくワタシたちの精神」というテーマが流れている。それは単なる経済の問題ではなく、アン税保障だけの話でもなく、ワタシたち一人一人の「あり方」そのものにまで浸透している、見えない構造的圧力だ。
台湾有事は地理的な距離の近さゆえに、戦争が「画面の向こう」ではなく「隣町の現実」となる可能性を含んでいる。アメリカの関税政策は、国家の戦略として行われる一方で、実際には世界中の市民に「物価高」や「供給不足」という形で跳ね返ってくる。そして、そうしたグローバルな揺らぎの中で、ワタシたちは「何が正しいのか」「どう生きればいいのか」という問いの前に立たされている。
ここで大切なのは、「何が起こるか」を恐れることではない。
「何が起ころうとも、ワタシはどう在るか」を考える事。
それが、「精神的防衛力」であり、「自分の軸を持つ」ということに他ならない。
今、社会には「何かを変えたい」と感じている若者が少なからず確かに存在する。だけど、どこから始めればいいかわからず、自身を持てず、何かを発信する事すら躊躇してしまう人も多い。
その気持ちはよくわかる。実際自分もそうだった。
なぜならこの世界は、あまりに複雑で、あまりに早く変わっていくから。
それでもワタシは信じている。
「構造を理解し、言葉にしようとすること」そのものが、既に大きな第一歩だと。
どんなに巨大なシステムも、どんなに冷たい政治構造も、個人の思想と言葉、そして選択の積み重ねが未来を形作ってきた。
そして今この瞬間も、それは変わっていない。
これからの時代に必要なのは、「完璧な正解」ではない。
必要なのは、「矛盾を見つめながらも、それでも一歩踏み出す勇気」だ。
あなたが抱える不安や違和感こそが、この社会に必要な問いかもしれない。だから、どうか自分の直感や疑問を信じてほしい。
この混沌とした時代に生まれたことは、偶然じゃない。
きっとそれは、新しい未来を創るために与えられた「役割」だ。
若さは、構造を壊す武器に。
知識は、構造を読み解く道具に。
精神的な自立は、時代に流されない盾に。
それらを手にしたワタシたちは、まだこの社会を変える可能性を持っている。その確信と共に、ワタシはこの文章を締めくくりたい。
不安の時代に問われるのは、誰かの答えではなく、自分自身の覚悟だ。
あなたは、どんな未来を選び、どんな言葉でこの世界と向き合うだろうか?
少しでもワタシの話していること、そして今日知ったことに関して興味を持ってくれた方は是非、ワタシという人間を知ってほしい。そして、いつの日か共に世の中に立ち向かう仲間になってほしい。以下に、ワタシ自身について簡単に書かれている記事を記載しておく。
忖度なし、妥協なし。21歳の視点から世の中をぶった斬る
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